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  • 2018-11-09
  • 色の不思議あれこれVol.111
  • ▸赤瀬川原平・未発表コラージュ展を見た その2
  •  これらコラージュ作品群の中からの発表(1963年2月、新宿・第一画廊、赤瀬川原平個展「あいまいな海について」)に際して発送した案内状(原寸大の千円札の単色刷りを案内状として現金書留封筒にて発送)が、あの「千円札事件」の端緒となったわけでもある。
     で、そのコラージュ作品だが、ともかく、色がいい。ゲンペイさんのじつに確かな色感が伝わってくる。どの色も、いわゆる“きれい”な色から少しズレた独特のきれいさを備えている。そうした色同士が組み合わさって“発言力”を獲得している。
     コラージュはふつう既成の印刷物を切って台紙に貼って作る。だから、台紙=貼るための“場”の設定が大事になる。ゲンペイさんの場合、あるときはガッシュのデカルコマニー、あるときは筆触が意識的に残されたガッシュの色面、あるときは複数の繊細な線、‥‥、というように台紙に手が加えられ、あらかじめ表情ある“場”がコラージュのために準備されている。画用紙そのまま、という例は見当たらない。ある表情を持った紙の上に切り取られた印刷物が貼り込まれていくのだが、その切り取り方がいい。その手つきの丁寧さがいい。貼り込まれるものの色と形と場所がいい。印刷物の持っていた特定の“意味”の露出が程よく回避されている。作業は丁寧になされ、ノリで汚れたりなどしていない(そんなことは言うまでもない)。貼り込みのあとに(あるいは貼り込みながら)さらに描きこまれる線や点線、絵の具の飛沫、脱色のにじみなどがまたいい。実に効果的である。これらの総和でゲンペイさんの“世界”が成立してくる。ある種のバランス感覚さえ伝わってくる。
     他にも、兒嶋画廊が所蔵するゲンペイさんの作品も加わって(あ、瀧口修造の作品もあった)、目立たないが、とても見応えのある展覧会である。立ち会えてよかった。
    (2018年11月8日、東京にて)

    作品:1960-63デカルコマニー、コラージュ、ドローイング、紙、個人蔵
    公式HP:http://www.gallery-kojima.jp/artists/genpei_akasegawa/

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