立体作家、元京都芸術大学教授の藤村克裕先生のアートについてのコラムです。
藤村克裕 プロフィール
1977年 東京藝術大学美術学部絵画科油画専攻卒業。
1979年 東京藝術大学大学院美術研究科油画専攻修了。
内外の賞を数々受賞。
元京都芸術大学教授。
若冲展のこと
2016-09-16
上野、東京都美術館で開催された『若冲』展は、連日の“大にぎわい”で、長大な行列ができ、3時間待ち4時間待ち、5時間待ち、…、とかいうので、あまりといえばあまり。私は断念した。招待券もあったのに。
じつは、展覧会開始早々の雨の日に、こんな日ならひとも少ないだろう、と出かけたのだが、すでに行列ができていて、40分待ちというのであきれ、さらなる悪条件の日を狙って出直そう、とカタログだけ買って帰ってきたのだった。
そのことを家人に言うと、家人は、若冲展の混雑状況は毎日インターネットで知らせてくれているはずだからちゃんと調べてから行けば? と言った。で、気の向いた時にチェックすると、待ち時間はどんどん長くなっていた。2時間も3時間も、おっと5時間も、それ以上も。そんな長時間をひたすら並んでいる集中力は私にはない。この国の人々がこんなに美術を愛好しているのを目の当たりにするのは喜ぶべきことである。
聞くところによれば、過酷な行列に耐えてやっと入場したと思ったら、止まらないでください、止まらないでくださーい、との怒濤の“誘導”。見えるのは他の観客の頭、頭、…。最前列に到達するには更なる忍耐を要し、最前列に辿り着けたとしても、止まらないで、と移動を促されるのだ。観客は皆、おとなしく従っていたそうだ。
ひどすぎる。
なにが?
この状況が。
テレビ、ラジオ、新聞、雑誌をはじめ、ツイッターやらなんやらの、考えうるメディアを総動員した“話題の展覧会”では、いつも同じことが繰り返される。その理由が分からない。(ほんとは、儲けるため、とみんな知っている)。とくに今回はNHKが先陣をきっての広報活動。だれもが関心を寄せ、実物を見てみたい、と思ったのは目に見えていたではないか。(ほんとは、みんながそう思い込んでしまうように仕組まれていたわけだ)。煽るだけ煽って、さばききれない程の行列ができても、せいぜい熱中症に気をつけて、とか、飲み物持参で、とかの注意喚起がなされるだけ。
会期延長はさすがに難しいとしても、開館時間の大幅延長とか、休館日も開館するとか、せめて主催者側はドロナワの工夫さえできなかったものだろうか。
じつは、展覧会開始早々の雨の日に、こんな日ならひとも少ないだろう、と出かけたのだが、すでに行列ができていて、40分待ちというのであきれ、さらなる悪条件の日を狙って出直そう、とカタログだけ買って帰ってきたのだった。
そのことを家人に言うと、家人は、若冲展の混雑状況は毎日インターネットで知らせてくれているはずだからちゃんと調べてから行けば? と言った。で、気の向いた時にチェックすると、待ち時間はどんどん長くなっていた。2時間も3時間も、おっと5時間も、それ以上も。そんな長時間をひたすら並んでいる集中力は私にはない。この国の人々がこんなに美術を愛好しているのを目の当たりにするのは喜ぶべきことである。
聞くところによれば、過酷な行列に耐えてやっと入場したと思ったら、止まらないでください、止まらないでくださーい、との怒濤の“誘導”。見えるのは他の観客の頭、頭、…。最前列に到達するには更なる忍耐を要し、最前列に辿り着けたとしても、止まらないで、と移動を促されるのだ。観客は皆、おとなしく従っていたそうだ。
ひどすぎる。
なにが?
この状況が。
テレビ、ラジオ、新聞、雑誌をはじめ、ツイッターやらなんやらの、考えうるメディアを総動員した“話題の展覧会”では、いつも同じことが繰り返される。その理由が分からない。(ほんとは、儲けるため、とみんな知っている)。とくに今回はNHKが先陣をきっての広報活動。だれもが関心を寄せ、実物を見てみたい、と思ったのは目に見えていたではないか。(ほんとは、みんながそう思い込んでしまうように仕組まれていたわけだ)。煽るだけ煽って、さばききれない程の行列ができても、せいぜい熱中症に気をつけて、とか、飲み物持参で、とかの注意喚起がなされるだけ。
会期延長はさすがに難しいとしても、開館時間の大幅延長とか、休館日も開館するとか、せめて主催者側はドロナワの工夫さえできなかったものだろうか。