色の不思議あれこれ102 2018-08-21
迎賓館に行ってみた その1
毎日暑すぎるわけだが、そんな中、夏休み中の長男夫婦の提案で、私たち夫婦と四人、“昼食会”をした。とっても豪華でおいしかった。しかも、あろうことか、ゴチになってしまった。ありがたいことである。しばし、暑さを忘れることができた。
このあと、どうするのか? と家人が長男夫婦に尋ねると、水族館に行く、と言う。いかにも涼しげで、グッドアイディア、と思ったが、くっついて行ったりはしないのである(あたりまえか)。じゃあね、ごちそうさま、と別れて、私と家人は四谷・迎賓館に向かった。ちょうど、迎賓館では、藤田嗣治の絵が公開されているはず。ついゴージャスな気分になっていたのだった。
正面の門から入って、そのまま正面の玄関から建物の中に入っていくような気がしていたが、正面に向かおうとしているのをみてとったらしき路上の人から、あっち(学習院初等科の向かい側)の方に行くように誘導された。炎天下の路上で頑張っているのはすごい、と驚いていると、件の人だけでなく、次々に別の係員たちが誘導してくれるので、やがて、「西門」と呼ばれているらしい門から敷地内に入って、列に並び、荷物検査、チケット購入、チケット確認、入場、と滞りようのない流れに乗ることになったのである。
建物に入ったのは正面向かって右側の端っこのところ。そこから中をぐるぐる巡っていく。館内には冷房が効いているので、外の暑さからは逃れることができた。しかし、すぐに私と家人は気づかされるのである。
なんだか居心地が悪い。
高い天井、白い塗装、金色の金具、赤カーペット、床面のモザイク、歪みもクモリもない大きな鏡、各種の大理石、窓の形状、レースのカーテン、シャンデリア、壁画、レリーフ、椅子やテーブル、‥‥。なんだか、ひどく丁寧に作られた舞台装置のようである。「本物感」がほとんどない。“キッチュ”とでも言うのか、うーん、場違いなところに来てしまった。
藤田嗣治の絵は、入ってすぐのところに、まず一点展示されていた。描かれている男女ふたりの人物も、その場の景色も、明らかに西洋人であり西洋のどこかのようである。ヘロヘロ、ホイホイ描かれていて、ふーん、という以外の感想が生じない。
つづく→
立体作家、元京都芸術大学教授の藤村克裕先生のアートについてのコラムです。
藤村克裕 プロフィール
1977年 東京藝術大学美術学部絵画科油画専攻卒業。
1979年 東京藝術大学大学院美術研究科油画専攻修了。
内外の賞を数々受賞。
元京都芸術大学教授。
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