色の不思議あれこれ078 2017-10-10
東京国立博物館で「運慶」展をみた その3
「四天王立像」もそれぞれ素晴らしい。部分の形状同士の関係が信じがたい強度であり精度である。こんなことができるのか、と目を見張った。「広目天」など、チントレットが描いたミケランジェロのメジチ像のデッサンのフォルムを想起した(なんだかとても回りくどい=苦笑)。
あと、金剛峰寺の「八大童子立像」も素晴らしい。これはガラスケースに入っていたが、ケースへの周囲の映り込みなどがかえって面白いだけでなく、像自体がすごい。比較的小さな寸法なのに、“人形”にはなっていない。私は高野山に行ったことがないので、これらの像が常日頃どのように安置されているかを知らない。おそらくは、この会場のような距離の近さや明るさでまみえることはかなわないだろう。これらは、彫刻としてはもちろん、絵としても素晴らしい。背面のこの部分だけで充分すぎるくらいに絵として成立しているではないか、ああ、ほしい! というような具合に、「堪能」ということをした。
他にもビックリしてばかり。その結果、第二会場では集中が途切れてしまった。いくら貧乏性をもってしてもダメだった。
なんでも、東大寺俊乗堂の「重源上人座像」が10月7日から展示されるらしい。不覚にも私はこれが運慶作ということを知らなかった。「重源上人座像」、見たい! 見たーい! 先に述べた研修旅行の時にちょっと見たきりだ。たしか、お堂の奥の上の方にあった。かっこいい! と思った。その後見る機会はなかった。ああ、よく調べて来るんだった。あ、7日以降だと「日曜美術館」の後になるか…。
疲れきって帰路につきながら、しょうがない、も一回来るか、と思った。野口英世の銅像も西洋美術館の看板もぜんぜん目に入らなかった。
2017年10月3日 東京にて
公式HP:http://unkei2017.jp/
追記:10月8日、あれっ? NHK.・Eテレ、日曜美術館の特集は「狩野元信」だった。ボケの進行がいよいよ深刻になってきた。お気づきの方にはお詫び申し上げます。
立体作家、元京都芸術大学教授の藤村克裕先生のアートについてのコラムです。
藤村克裕 プロフィール
1977年 東京藝術大学美術学部絵画科油画専攻卒業。
1979年 東京藝術大学大学院美術研究科油画専攻修了。
内外の賞を数々受賞。
元京都芸術大学教授。
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