藤村克裕雑記帳

色の不思議あれこれ その1194 2021-01-20

いつの間にか、一月が終わってしまう その1

というわけで、雲ひとつない晴天。私の暮らす東京でこういう天気の時は、日本海側の方では大変なことになっている。大雪、そして吹雪。日本列島を南北にずーっと走る背骨のような山々に阻まれて雪がどっさり落ちてしまうのだ。雪以外の冷たい空気は山々を越え、「からっ風」となって、かかあ天下と言われる群馬県だけでなく、関東平野全般に吹き荒れる。北風小僧のカンタロウである。それなりに寒いが、天気は「あっぱれ」なのである。
 ボヤボヤしてたら、またまた歩き方を忘れそうである。不要不急の外出はやめてください、と言われているのではあるが、「不要不急」という意味が分からない。それに、歩き方を忘れては様々な不便が生じる。なので、必要不可欠の外出を決行する事にした。
 ただ歩いてもつまらない。だから、というのではないが、都バスに乗ってみた。バスは空いていて、座る事にためらいはなかった。しかし、これは歩くこととは真反対の行ないである。それに気づいて、薬王寺というバス停で降りた。このあと今日はもう、バスに乗らないと決めた。
 今年は、お正月早々、タクシーに乗った。今年、満で100歳になる義母が不調になって、奥さんと一緒にちょっと離れた場所の病院へ連れて行った。帰りもタクシーに乗った。お正月でもタクシーは走っていて、とても助かった。そういう頼りになるタクシーだが、今日はもう絶対にタクシーにも乗らない。歩く。そう決めたのだ。
緩やかな坂道を歩いて、だんだん飽きてくる頃に、「√K Contemporary」を見つけた。ここに来るのは二度目だが、前回は別の道筋でやってきて迷ってしまった。今日は、あたかも、ごく自然に、その画廊をふと見つけたかのようだが、実は調べてあったのだ。歩くと決めたとはいえ、道に迷うのは嫌なのである。

「絵画の見かた reprise」という展示をやっている。実行委員会主催というが、「会」を構成する(はずの)実行委員の氏名などの情報はない。企画・監修:梅津庸一、企画協力:美術手帖。梅津氏はすでに「ここ」に何度か登場済みで、お読みくださっている方々にはすでにお馴染みであろう。コロナで私の動きが鈍ってしまっているが、梅津氏の発言や活動ぶりが興味深くて、ここのところ比較的マメに追いかけてきた。しかし、彼のやっていること、しゃべっていることが、どんどんわからなくなる。
 今回も「絵画の見かた」というのがすごい。どんな「見かた」を指南してくれるか、ともかくやって来たのである。

画像:上下 弓指寛治「挽歌」部分


(つづく→)

藤村克裕

立体作家、元京都芸術大学教授の藤村克裕先生のアートについてのコラムです。

藤村克裕 プロフィール

1977年 東京藝術大学美術学部絵画科油画専攻卒業。

1979年 東京藝術大学大学院美術研究科油画専攻修了。

内外の賞を数々受賞。

元京都芸術大学教授。

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