色の不思議あれこれ180 2020-07-22
ロンドン・ナショナル・ギャラリー展を見た
JR上野駅ホームに降り立ち、いつものように階段を登ってから左に進むはずが、あれま、公園口の改札がなくなっていた。というか、いつもの改札は仮設壁ですっかり遮られてしまっていた。矢印の表示に従って進むと、“奥”の方に新しい改札口ができていて、そこから文化会館と西洋美術館との間の広い通路がそのまま向こうの動物園まで見通せた。へえーっ。
まだ工事は完全には終わっていない様子で、改札前の道路が一旦遮断されていた。このまま道路がなくなるのもいいかも。
そんなことより、国立西洋美術館にロンドンのナショナル・ギャラリーから絵がたくさんやって来ていて、このまえ、やっとそれが開いたのだ。とはいえ、これまでのように、好きな時に出かけて行ってチケットを買い、空いていればラッキー、混んでいてもそれなりに臨機応変、見たいように見る、というわけにはいかない。予約、というヤツが必要になって、えへん、私は予約済みなのである。
予約は家人がやってくれた。「オン・ライン」とかは、考えるだけで私には無理。無理だが、これからは、展覧会もあらかじめ予約して見ることが当たり前になるのだろうなあ、なんだかなあ、と思う。とは言え、新型コロナに私共のような老夫婦が罹患すればイチコロナのだから、主催者の配慮には感謝しなければならない。ありがと。
そんなこんなで、予約時間に間に合った。マスク、検温、消毒、ソーシャル・ディスタンス、などクリアして入場。そしたら、いきなり、ちらり、と向こうにクリベルリが見えて、びっくり仰天。クリベルリですぞ!
「あれ」がホントに来ているのか? 来ている! ずいぶん高い位置に掲げられて。
しかし、駆け寄ったりはせず、はやる気持ちをむりやり抑えて、おもむろにウッチェルロから見物を始めた。小品とは言え、ウッチェルロですぞ!
すでにお分かりのように、あとはもう、次々に現れ出てくる名品の数々。ついつい没入させられる。
比較的あっさりとタンノウということをしていたはずなのに、一巡しただけで二時間経っていた。もう一度、クリベルリのところまで戻ろうか、と思ったが、やめた。老夫婦はもうヘトヘトだったのである。
一休みしながらリストを見ると、来ていたのは全部で61点,7つのセクションに整理されての展示だった。なるほど。
1,イタリア・ルネサンス絵画の収集
2,オランダ絵画の黄金時代
3,ヴァン・ダイクとイギリス肖像画
4,グランド・ツアー
5,スペイン絵画の発見
6,風景画とピクチャレスク
7,イギリスにおけるフランス近代美術受容
どれもすごいぞ。誰もがタンノウということを間違いなくできる(はずだ)。
でも、やはり、ロンドン・ナショナル・ギャラリーのごくごく一部が紹介されているにとどまっているのは否めない。これは致し方なかろう。一体いつになったら外国の美術館とかに行けるのだろうか、というご時世なのである。こうしてロンドンからの名品の数々にまみえることができたのは、幸運というべきかもしれない。
呆れるような作品が並んでいる。ため息が出る。
ごめんなさい! といつものパターンなのであった。
みなさんもぜひ。
(2020年7月21日、東京にて)
入場券は日時指定制
●会期:2020年6月18日(木)〜10月18日(日)
●会場:国立西洋美術館(東京・上野公園)
●時間:午前9時30分~午後5時30分
(金曜日、土曜日は午後9時まで)
※入館は閉館の30分前まで
主催:国立西洋美術館、ロンドン・ナショナル・ギャラリー、読売新聞社、日本テレビ放送網
●公式HPhttps://artexhibition.jp/london2020/
画像:上「カルロ・クリヴェッリ」
《聖エミディウスを伴う受胎告知》
1486年 卵テンペラ・油彩・カンヴァス 207×146.7cm
©The National Gallery, London. Presented by Lord Taunton, 1864
下:フィンセント・ファン・ゴッホ
《ひまわり》
1888年 油彩・カンヴァス 92.1×73cm
©The National Gallery, London. Bought, Courtauld Fund, 1924
立体作家、元京都芸術大学教授の藤村克裕先生のアートについてのコラムです。
藤村克裕 プロフィール
1977年 東京藝術大学美術学部絵画科油画専攻卒業。
1979年 東京藝術大学大学院美術研究科油画専攻修了。
内外の賞を数々受賞。
元京都芸術大学教授。
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