画材のトリビア
小杉弘明

小杉弘明氏による画材のトリビアコラムを連載します。

小杉弘明 プロフィール

1954年 大阪出身。

1977年 大阪府立大学 工学部応用化学科卒。

元ホルベイン工業株式会社 技術部長。

現カルチャーセンター講師。

混色という魔界 特別編
2025-11-27
 これまで5回に渡って混色の話をしてきた。今回はその続きではあるけれど、混色と重色との違いについて書いてみたいと思ったので、あえて特別編とした。混色と重色の違いで単純にわかる違いは、前者が塗る前から色がわかっているのに対して、後者は塗ってみないとわからないということだろう。色と色を混ぜて別な色を作ると、人は塗る前に色が知覚できている。ところが、塗った色の上に別な色を塗り重ねる場合はどうだろう。塗り重ねてみなければ見え方がわからないので、とりあえず薄い色を何度か塗り重ねて、自分のイメージに近づけるという方法が普通だろう。まずは、アクリル絵具で作成した最初の資料を見てもらいたい。これは不透明色であるカドミウムイエローライトやカドミウムオレンジに対して、透明色であるフタロブルーレッドシェードを混色したり、塗り重ねたりした時の違いについて示したものである。