藤村克裕雑記帳
2015-12-26
  • 色の不思議あれこれ040
  • 燕三条市に行ってきた(1)
  • 燕三条市に行ってきた。10月1日から4日まで「燕三条 工場の祭典」という大イベントの情報を得たからだ。10月3日、晴天、日帰り。
    新潟県の燕三条は金属加工で有名だが、たくさんの工場のうち、68の工場が開放される、というのでは好奇心がむくむくと頭を持ち上げたのだった。とはいえ訪れる事ができたのはごく限られた「こうば」や「こうじょう」だったが、ものすごく面白かった。
    まず訪れたのは「火造りのうちやま」。手作りで和釘を中心に、丸かん、掛金、鎹(かすがい)などを製造している。ご主人自らいろいろ説明をして下さり、実際に幾種類かの和釘を作ってみせて下さった。和釘、と言っても用途によって多くの種類があることや、それぞれがじつに合理的に考え抜かれている事を改めて知った。実際に作っているところを拝見すると、いかにも簡単そうに、あっという間に作り上げる。その背後にどれほどの修練があったのか、そしてまた、寒い冬も暑い夏もこの場所でひとり作業に集中していることを思うと頭が下がった。
  • 次に訪れたのは「シマト工業」。ここは大きな工場だった。金属ばかりでなく樹脂も扱っており、最新鋭の精密機械も使いながらさまざまな加工を行なっている。金型づくりを含めて、様々な金属加工、樹脂加工はもちろん、検査・組み立て・出荷までのすべての現場を見学させてもらえた。まさに、現代の金属加工の現場の実際の姿を知る事ができた訳である。びっくりすることばかりだった。私がとりわけ感動したのは、検査室に据えられた大きくて実に分厚い定盤の、絶対水平面とはこれだ! という感じ。工場を見学しながら、こうしたものについ、おう かっこいい! と思ってしまう自分に苦笑せざるをえない。それにしても、昼休み時間を返上して下さって見学させていただいた部署の方々には、あらためてここでお礼を申し上げたい。

    つづく
  • [ 藤村克裕プロフィール ]
  • 1951年生まれ 帯広出身
  • 立体作家、元京都芸術大学教授の藤村克裕先生のアートについてのコラムです。
  • 1977年 東京藝術大学美術学部絵画科油画専攻卒業。
  • 1979年 東京藝術大学大学院美術研究科油画専攻修了。
  • 内外の賞を数々受賞。
  • 元京都芸術大学教授。
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