「樹海」と名付けられたこの大作もまた同様である。先の尖った三角の白い形状に対して、丸い白い形状が対比されてアクセントをなしている。
複数の目のあるショッキングピンクのエビのお寿司が飛び去っていく。シャリの表情に凝っているのに目立たないように描いている。
茶色の怪物は、アフリカのフェティッシュの貫禄さえ帯びている。
動物の鼻の穴から樹木が生えている。耳からチンチンが生えている。ほっぺから手が伸びている。灯篭もあれば、たくさんのハンガーもある。
細かく線で描かれたのは、大部分は精子=精虫だけど、ところどころに小さく「ネジ式」の場面や「オバQ」、蛭子漫画に登場する男などを認めることができる。サービス満点、というか漫画へのオマージュだ。こうしたものも含みながら独特なテクスチャーを実現しているのだ。
あそこの青と白とのところは富士山ですか?
と尋ねてみた。先の狭まった四角いネット(網)のような形状が逆さまになっているところがあったので。
そうなんです。あそこが出来て「樹海」っていうタイトルが決まりました。と根本氏は言った。
素晴らしいイメージですね…。
と私は絶句した。ネット(網)みたいな逆さ富士。
柔軟だなあ…。
心の中でつぶやいた。くやしいなあ、と思った。
(2017年10月8日 東京にて)
●美術手帖
「根本敬ゲルニカ計画」(ニコ・ニコルソン画)
好評掲載中 毎月17日発売
https://bijutsutecho.com/
●根本敬ゲルニカ計画
https://motion-gallery.net/projects/guernica
https://twitter.com/ntguernica
今回の展示は終了しました。