駅近くのパン屋に寄ってから、都営新宿線・市ヶ谷駅まで移動した。伊藤誠氏の作品が展示されている、という情報を得ていたので、武蔵美の市ヶ谷キャンパスに立ち寄ったのである。ビル一階の無印良品の店舗に作品が紛れ込んでいる。
小林耕平氏のヴィデオ作品『瞬間レリーフ』に笑ってしまった。大真面目な顔で実にとぼけたやり取りを山形育弘氏と繰り広げる。その中に登場する「参考作品」や「試作品」の現物も展示されている。そのうちの一つをご紹介させていただく。グラスの口を押し付けてできたマルはハンドル。「八」の字型の線二本で道。穴はトンネル。六角形の箸を突き刺して作ってある。上部の塊は山。
手前にあるべきもの(ハンドル)が一番奥にあって、一番奥にあるはずのもの(山)が一番手前にあるレリーフだ、と言っている。
山の作り方がすごい。どうすごいかは、実際をヴィデオ映像でご覧いただきたい。笑う以外のことができない。
別の『瞬間レリーフ』作品について、山形氏が、地表を裏側から踏みつけたみたい、とか気の利いたコメントをしたりもする。そういうメリハリが身上だろう。
一息ついて、新宿方面に靖国通りを歩き出しながら、思わず“瞬間レリーフごっこ”をしてしまっていた。素直に路上に落ちていたものを拾い上げて持ち帰ってしまった。
防衛省前を渡ろうとしたら、赤信号です! と叱られた。
どんどん歩いて気がつくと12500歩を超えていた。えらい!
(2020年2月18日、東京にて)