私はその足で、ステーションギャラリーの近所、三菱一号館美術館に足を伸ばした。最近では展覧会のハシゴは滅多にやらない(できない)のにそうしたのである。そうでもしなければ、気持ちが収まらなかった。
アメリカはワシントンのお金持ちのフィリップスさんが集めた近代美術の名画の展覧会。コレクションの数々からやって来た75点。私立美術館として100年の歴史がある、というだけあって見応えある作品が並んでいた。アングル、シャルダン、ドラクロア、ドーミエ、クールベ、マネ、モネ、シスレー、セザンヌ、ゴッホ、ゴーギャン、スーラ、ピカソ、ブラック、ボナール、ヴィヤール、スーチン、ココシュカ、‥‥、など。どれも見飽きることはなかった。ざっと流していたつもりが、数時間かかってしまっていて、気がついたときにはもうヘトヘトで、きっと堪能ということをしていたのだろう。もう一度見たいくらい。
あんなすごい作品たちに日常的に囲まれて、フィリップスさんはどんなに幸せだっただろう。きっと毎日新たな発見があるだろう。羨ましいなあ。あ、新年早々、人様を羨んでいてはいかにも情けない。自戒すべし。
そういえば、いつの間にかワイドショーも取り上げなくなった「紀州のドンファン」さんのお宅の壁にルノアールがかかっていたなあ。テレビカメラがさりげなく捉えていた。彼はルノアールが好きだったのだろうか? いくらくらいするんだろう? ま、そんなことはどうでもよいが、今回展示されていたフィリップスさんのコレクションにはルノアールは含まれていなかった。これもどうでもよいけど。
(2019年1月4日、東京にて)